デジタルボディランゲージ をアウトバウンドコールに活用 − Market One

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「デジタルボディランゲージ」を、インサイドセールスチームがアウトバウンドコールに活用するには

ご存知の通り、EloquaやMarketoなどのマーケティングオートメーションプラットフォーム(以下、MAP)では、オンライン上の行動を分析することができます。例えばWebサイト上での行動履歴や電子メールの開封履歴、広告に対する反応やそれらの頻度といった情報から、誰がどの製品に関心があるか、その背景となるビジネスペインは何か、その行動が購入に関わるのか、それともブラウジングしているだけなのか・・・。

従来営業担当者が直接顧客の元へ出向き、対面で情報提供や提案をおこなう中で読み取ってきた相手の「反応」=「ボディランゲージ」に代替し、これらオンライン上の「非対面での相手のサイン」=「デジタルボディランゲージ」が、顧客の見込み度合いやニーズ度合いを憶測するための重要な情報となることを、期待している方は多いのではないでしょうか?

実際にデジタルボディランゲージは、インサイド(テレ)セールスチームの活動をより効果的なものにするための、有益な事前情報となり得ます。そんなデジタルボディランゲージの活用におけるベストプラクティスと、回避すべき間違いを、ご紹介いたします。

なおこの記事の原文(英文記事)はコチラからご覧いただけます。

インサイドセールス部門やテレマーケティング業務に従事したことがある方であれば、1度は先輩が作った「コールスクリプト(トークの例文)」を棒読みした経験があるのではないでしょうか。また、それらの業務の未経験者であっても、自身の業務課題と合致しない電話営業に不快感を覚えた経験をお持ちの方は、少なからずいらっしゃるのではないかと思います。

世間一般的なニーズや、比較的多くの人に響きやすいキーワードを並べて作ったコールスクリプトを用いたテレマーケティングではなく、見込み客一社一社のタイムリーなビジネスペインを推測した上で、訴求するポイントをカスタマイズし、適切な粒度の情報を提供できる。まさに営業担当者による「提案」にも近しい活動を、電話でおこなえるようになることは、MAPを活用する利点の一つと言えるでしょう。

ただし前提として、MAPから得られる考察は、御社がデータベース上に保有している担当者情報(最低限の個人情報=名前、企業名、所属部署名、電話番号、Eメールアドレス等)と紐づくことで、初めてアウトバウンドの電話アプローチに活用できる情報となります。たとえば御社のWebサイト上で、特定の製品の紹介ページに長時間滞在している人物がいたとしても、その個人の情報を保有していなければ、わかるのはIPアドレスくらいで、それでは電話に活用できる情報にはなりません。とはいえ、Webサイトへの訪問者は、大多数が個人を特定できない人物ですので、この、個人を特定できないものの、自社に関心を持っている人物に対するアプローチ方法については、トレンドとして記事の最後にご紹介をさせて頂きます。

それでは、デジタルボディランゲージを収集するマーケティング担当者が、実際に電話でピッチ(訴求)をするインサイドセールス担当者にとって有益な情報を提供するために、どのようなポイント着眼すべきでしょうか。言い換えるとアウトバウンドのコールの際に、見込み客から好意的な反応を得るためのヒントとなるポイントとは・・・。

1. 興味の度合を測るポイント

  • 見込み客はどの時期にどのくらいの頻度でウェブサイトにアクセスしているか?
  • 最後の数回の訪問の滞在期間はどれぐらいか?
  • トータルのページビュー数は?

2. 興味を示している内容

  • 閲覧したWebページ
  • ダウンロードしたホワイトペーパーやケーススタディ
  • 購読している電子メール等
  • 使用した検索クエリ
  • 出席したイベントやセミナー、展示会の内容
  • ナーチャリングプログラムに入っているかどうかと、そのプログラムのメッセージ/テーマ

まずはMAPのプロファイリング機能を利用し、これらの情報の中で、なるべくタイムリーな情報を見ていきましょう。少なくとも、直近1カ月以内の情報を活用することをお勧めしますし、もしも自社がどうしてもアプローチしたい注力アカウントであれば、そのアカウントに紐づく個人には、24時間以内にファーストコンタクトできるように、アラート機能を利用するのも一つです。

また、「デジタルボディランゲージの収集」=「分析の為のデータ収集」とならぬよう注意しましょう。デジタルボディーランゲージを効果的に利用するためには、自社のアウトバウンドのコール活動に役立つ情報が何か、という指標で捉え、定期的に見直すことが重要です。そのためには、実際にコールを担当するインサイドセールス部門からフィードバックをもらい、協議してみるのも良いでしょう。

一方で、デジタルボディランゲージを活用したアウトバウンドコールにおいて、あまり好ましくないピッチもあります。それは、見込み客が取った行動を、「監視されている」と感じるようなことです。例えば購買担当者であるあなたに、電話の相手が以下のようなことを伝えてきたら、どのように感じるでしょうか?

  • 「検索クエリに『○○』と入力なさりましたが、『○○』に関心がございますか?」
  • 「『○○』についてのWebページにアクセスしていますが…」
  • 「過去10日間の間に、弊社のWebサイトに3回訪れましたが…」
  • 「弊社からの電子メールを10回開封していただきましたが…」
  • 「今日の15時36分に弊社のウェブサイトを訪問されましたが…」

これらは少し極端な例ではありますが、デジタルボディランゲージにより、狙っていたアカウントのキーマンが「自社の製品に強い関心を抱いている(良いリードとなる可能性がある)!」と判断し、興奮しているインサイドセールス担当者の気持ちになれば、例に挙げたようなコメントを口してしまうことも想像して頂けるのではないかと思います。また、これらの例と同様に、見込み客が持ち出さない限り、ナーチャリングプログラムや、リードスコアを彷彿させるようなメッセージにも注意しましょう。

デジタルボディーランゲージは、購買担当者が抱くビジネス上の課題や関心を「理解する」ための手段として使用するべきだということを念頭に置きましょう。そして、コンタクトした見込み顧客との会話では、あなたが購買担当者にとって、ビジネス上の問題を解決するために、有益な情報を提供してくれる存在だと感じて頂くために用いましょう。

それでは、以上を踏まえて実際にデジタルボディランゲージを活用して、構築したピッチを見てみましょう。

I. シナリオ

見込み客が製品固有の資料をダウンロードしたり、製品固有のイベントに出席したり、特定の入力フォームに記入したり・・・つまり、見込み客の関心事やビジネスペインを、ある程度特定できるような行動を取っていたとします。

アプローチ

「私は『Aという製品(見込み客が関心を示している製品またはソリューションの名称)』の担当でございます。実は『XXX(想定されるビジネスペイン)』の解決に、Aを用いていただいた事例がございまして、例えば『B社(できればバイネームで紹介できる同業他社名)』などでどのように利用されているか、ご紹介の機会を頂戴したく、ご連絡差し上げた次第でございます。」

II. シナリオ

御社が配信した1通のEメールを、1度だけ開封した履歴のある見込み客がいるとします。その見込み客は、Eメール内に埋め込んだLinkをクリックしたこともなければ、直近で御社が出展したイベントや展示会に出席した履歴もなく、御社のWebサイト上の検索フォーム上に何かしらキーワードを打ち込んだこともありません。つまり、1度だけEメールを開封し、本文を見てスルーした以外の行動は取っていません。このシナリオでは、電子メールを開封した後スルーしたこと、つまり本文の中で訴求している具体的なメールの内容には関心を示さなかった、ということに焦点を当てるのではありません。開封したという事実に着目し、電子メールを開封してもらうためのフックにしていたメッセージから、見込み客のビジネスペインを憶測し、具体的なインタラクションを明確に持ち出さず、カスタマイズされたアプローチを作成しましょう。

アプローチ

「実は弊社は、『○○業界(見込み客が属する、もしくは互換性のある業界)』の企業様に対しまして、『XXX(想定されるビジネスペイン)』の解決をご支援いたしております。御社でもし『XXX』をご課題と感じていらっしゃるようでしたら、例えば『B社(できればバイネームで紹介できる、見込み客と同業の企業名)』などの解決事例のご紹介をしつつ、情報交換の機会にしていただければと思い、ご連絡いたしました」

いかかでしょうか?多少具体性に欠け、イメージが沸きづらいかもしれませんね。もしよろしければ一度御社のMAPにて、先述の『興味の度合を測るポイント』と、『興味を示している内容』に着眼して、御社の見込み客の「デジタルボディランゲージ」を確認してみてください。もしそれでもイメージが沸きづらいようなら、それらの情報を持って、インサイドセールス部員や営業部員の意見を聞いてみるのも良いかもしれません。そして御社がオンライン上の購買のサインを見逃さず、それを発している個人に対し、デジタルボディランゲージを基に適切な粒度の情報を提供できたならば、アウトバウンドのコールに対する、相手の反応を、好意的だと感じることが出来ることでしょう。

補足になりますが、このディジタルボディーランゲージは、オンライン上の訪問者の個人が特定できてはじめて価値を持ちます。つまり、御社のウェブサイトの訪問者の内の、2~8%の極めて限られた方となるでしょう。残りの92-98%の、個人を特定することはできないものの、見込み客になりそうな個人とは、どうやってエンゲージすればいいでしょうか?最近はこの、個人を特定できない個人と、リアルタイムチャットで積極的にコミュニケーションを取り、パイプラインの増幅を狙う取り組みが、トレンドとして広まりつつあります。